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刀剣男士とオカルトと審神者13
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15568329
 『棧会』っていうおばけで一冊書いたよ(ゝω・)v
 やべえ神のおばけちゃんと優しい神様の刀剣男士君の両方がいっぱい書けて大満足でしたね。


■棧会
 建物が教会に似ているので"きょうかい"と読まれているが、本来は『さんげ』。
 根源である西洋宗教的思想の懺悔が仏教の懺悔に入れ替わり、母神の現世顕現の戸となる器(骨組み)がそれに会う場所だから棧会。
 設定書に書いてあったこの文章を一年以上経った今の私がそのまま書き起こしたんですが、完全に狂人の文章で引いています。

 碑文に彫られた二つの文章について。
 『我の罪を告白し、贖罪の証を捧げよ』
 母神が人間へ告げている文章。
 母神に生贄を捧げることは衆生救済、ひいては人間の贖罪である。
 なので生贄は贖罪の証であり、また生贄は母神の骨子となる。贖罪の証=生贄=母神、のため"我"の罪と書かれている。

 『此処を出るには誰か一人の名前を、寄進帳へ記せば良い。
  自分以外の、この場に居ない人間の名前でも構わない。』
 この怪異が都市伝説化した後(2050年あたり)、棧会について調べていた記者が書いたもの。
 記者は過去に、この怪異に巻き込まれた人間が他人の名前を寄進帳に書いて助かったことを知っていた。

 都市伝説としての棧会について。
 (※この怪異は生贄が増えるごとに変遷していくため、作中の描写と異なる場合があります)
 木造の教会に似ている建物。
 最奥の壁に母神の絵、その前に盃(水の入った棺桶)、その前に書見台があり寄進帳が開かれている。隣接するサイドテーブルには燭台と筆が置かれている。
 碑文は盃の側面に嵌め込まれている。
 明かりは燭台のみで、書見台周辺以外は真っ暗で何も見えない。燭台は固定されていて持ち運べない。
 暗いだけで探索は出来る。
 書見台に向いて木製の椅子が並ぶ。出入り口の引き戸は特に施錠されている風でもないが開かない。戸へ耳を当てると誰かが近付いてきて、向こう側から叩かれる。
 天井がたかいので音がやや反響する。
 携帯端末や手帳など、アドレス帳が見られるものだけ持ち込める。
 怪異の内容は『贖罪の証として誰か一人を生贄に捧げ、母神の現世顕現のための楔を作る』。なので死ぬのは誰でもいい。
 生贄が受理されると盃の水が赤くなる。


■娓寧教
 西洋宗教から変遷した土着信仰。
 衆生救済のため母神であるゴライハザミヒメガミを現世へ顕現させる儀式を行う。
 罪を犯した人間が贖罪の証として身を捧げ、母神が現世へ宿るための骨子となる。

 
■>>73 歌仙兼定(極)/風鈴
 怖いことの始まりの音として全部のお話に出てきたよ。

 各刀剣男士ごとの筆を使う描写を地味にこだわった。


■>>79 山姥切長義/リュウゼツラン
 お花三題そのいち。花言葉を使って書いていて、その言葉は審神者の自覚する罪悪であり、一緒に怪異に巻き込まれた刀剣男士の主に対する評価です。
 今回採用した花言葉は『繊細』。
□刀剣男士視点
 この長義も棧会については知っていた。寄進帳に名前を書かれたものがどうなるかも、もちろん。
 長義にとって主の繊細さは美徳であり、同時に他人の心ない言葉ひとつで命を落としてしまうくらい危ういものだと思っている。
 現にこの主は現世で高校の同級生から長期に渡りモラハラじみた言動をとられて心を病み、二度と現世に戻れない。
 本丸位相は稼働を続けるほど神域化し、ずっと留まり続けることは人間として死んだも同然だと長義は認識している。
 つまり人間としての主を殺した同級生に忠臣として仇討ちした。
 審神者や刀剣男士の呪詛による対象者の死は罪にならない。
 主は長義が書いた名前も仇討ちも一生知ることはない。


■>>85 同田貫正国/向日葵
 お花三題そのに。使い方はいっしょ。
 採用した花言葉は『崇拝』。
□刀剣男士視点
 お話の中で同田貫の心中を断定的に話す描写が多々あったが、この主は心の機微を汲み取るのが異常なまでに正確である。
 己の望みがそのまま通るため、同田貫は最初のうちは「あまりに叶いすぎるのも面白みがない」と感じていた。しかしどの刀剣、人間、式神に至るまで全ての存在に対して一貫して「心情を汲み取り、それを叶える」という態度を取っており、そこに一切の不安定さがないところが気に入り、主に心酔しはじめていると自覚がある。
 「俺はあんたが望むなら戦場以外で折れたっていいぜ」というセリフは正にそれ。


■>>90 鶴丸国永/白薔薇
 お花三題そのさん。使い方はいっしょ。
 採用した花言葉は『私はあなたに相応しい』。

 椅子に座ってたのは骨子。
□刀剣男士視点
 この主は「馬が合う」と鶴丸を近侍にしたり何かと頼るうち、己が鶴丸の影響を受けすぎていて良くないからと自制するようになった。
 しかし実際は逆で、鶴丸こそが主の影響を受けている。麻雀も未解決事件も、鶴丸が主に合わせたくて初めたこと。これは恋愛感情ではなく、それこそ「馬が合う」相手であり、持ち主がより使いやすい物でありたいという付喪神的な思考にもよる。
 主には自覚のないことだが、この主従は互いの思考を手に取るように把握している。>>85の同田貫の主との違いは、あちらは主から同田貫への一方通行であるのに対し、こちらは相互に思考を理解しあっている。
 主が「寄進帳に鶴丸が名前を書きたがる」と思う一方で、鶴丸側でも「脱出のために主は自分の名前を書くと言い出す」と知っていたため、思考回路全回転して依代の名前を書くことを閃いた。


■>>97 豊前江/救い
 豊前江とかいう救いの擬人化。
□刀剣男士視点
 審神者に危害を加える可能性が高いということで、こんのすけ経由でストーカーに関する情報は刀剣男士内で共有されている。
 審神者が講壇に立った時、本人にケリをつけさせてやりたいと思って見守っていたが、その手や肩が震えているのを見ていられなくなって共に名前を書いた。
 豊前が自分だけで書かなかったのは、きっとそうしたら「豊前に罪の肩代わりをさせてしまった」と主が一生悔い続けると思ったため。


■>>112 >>117 御手杵/ピエロ
 御手杵君の大好きなところいっぱい書けて僕は嬉しいわけ。
□刀剣男士視点
 この主は、
 「二人の人間の霊力を全部入れ替えたら、刀剣男士の主も入れ替わるの???」
 という人体実験の被害者。
 霊力を入れ替える際に他人の霊力に拒絶反応を示して受け付けず、霊力枯渇と記憶喪失を引き起こした。入れ替え相手は正常にこの主の霊力を取り込んだ。
 当時運営していた本丸は、刀剣男士側の心境はさておき、本丸位相の維持や運営は霊力に反応するため実験の結果は「入れ替えた霊力が尽きるまでは主の置き換えが可能」となり、入れ替えた相手が主として運営していた。
 非合法の実験であっため関係者は全て逮捕されたが、この主が記憶喪失+霊力枯渇(時間が経てば霊力は溜まっていくが完全にすっからかんになったせいで時間がかかる)で審神者業継続が不可能であることと、入れ替え相手が既に本丸の主として登録されてしまっていたこと、非合法な実験ではあったが貴重なサンプルであるため現状維持で入れ替え相手の本丸運営を続けさせたい人間が上層部にいたことなどの理由が重なり、主は事実上の乗っ取りに関する情報は伏せられたまま"リハビリ"と称して交換相手の本丸で小規模運営を行なっていた。 交換相手の本丸は刀剣男士どころか初期刀すらいない、まっさらな状態だった。
 御手杵は新本丸での初期刀として与えられ、上記の事情は全て政府から聞かされている。
 御手杵が寄進帳に書いたのは、霊力交換相手の名前。こちらは非合法実験に乗っかって他人の本丸を手に入れるつもりで実験に協力した人間であるため、主の仇であると認識していた。
 このあと主の霊力が回復したら、交換前の本丸の刀剣は主の元へ戻される。サンプルである交換相手が突然死んじゃったので。


■>>123 山姥切長義/シュレディンガーの猫
 自分で言うのもなんだけど、めっちゃ最高にお題をお話に出来たって思いました。

 親戚に暴力を振るわれているというのは記憶の混乱による妹の妄言や思い込み。
 妹の死が知らされていなかったのは、死んだのが審神者が名前を書く数分前だったから。
 ここ数ヶ月は食事もほぼ取らなくなって、一日の大半を寝て過ごしていた。二週間前から入院しており、原因不明の高熱も続いていたためもう長くはないだろうとは言われていた。
 「ただでさえ心労が絶えないのに、いつ死ぬともわからない状態だと審神者に知らせるのは酷だろう」「お国のために戦わねばならぬ人間が戻ってくるようなことがあってはならない」など、親戚や本家の話し合いで死んでから知らせようということになっていた。
□刀剣男士視点
 用事があってたまたま次の間に来てたって言ってたけど、長義は主の妹のことに関与出来ないのをとても歯痒く思っており、もし主が助けを求めたらすぐ手を貸せるようにと主が現世と連絡を取る時はいつも次の間に控えていた。


■>>130 泛塵/錆
 とっても分かりやすく書けてえらーい!

 戸の前で碑文の文章を読み上げると、神殿に招かれた人間が最も罪深いと考えている人間が生贄に選ばれる。
 この審神者の場合は高校時代の不良の先輩。先輩とその仲間がよくたむろしていた廃屋のボーリング場で火災が発生し、数人の生徒が巻き込まれて死亡した。その先輩のタバコの不始末のせいだったと噂が流れたが、証拠もないことだからと審神者も最初はそこまで信じていなかった。しかし本人が「ワンチャン俺のせいあるわ」と笑ってたのを聞いて、どうしようもない人間だと思った。
 審神者本人はこの先輩のことを憶えていなかったし、生贄を……という時に思い浮かびもしなかったが、記憶にあってもなくても本人の中での『最も罪深いと感じた人間』であれば選ばれる。


■>>138 小狐丸/扇
 小狐丸は髪が長いので「暑い…」ってへばってたら三日月が扇を貸してくれた。

 水槽の前で神の名を唱えると、母神の骨子がある空間への道が開かれる。
 そこはもう幾度もの儀式で場の霊力がおかしくなっており、踏み入れたら死ぬ。
 今回は小狐丸が先に入ったことで生贄として寄進帳に載り、審神者が空間に踏み入れる前に生贄が達成されて帰された。
 刀剣男士が生贄に選ばれた際、お守りでセーフになるかどうかは運。


■>>159 陸奥守吉行(極)/テセウスの船
 有名な船とか絵画かな?って思ってggったらもうこのお題を選んだ花丸フレンズからの「どろっどろのやべえおばけ作って下さい^^」というメッセージ性が強すぎてヒエッてなっちゃったわけ。

 審神者と刀剣男士の髪を捧げたことでランダム生贄ガチャが発生し、一番罪深いと思ってる人間が生贄に捧げられてる。ふたりは確認していないが、髪を入れた時に寄進帳に名前が増えてた。
□刀剣男士視点
 肥前は初期刀。
 主が候補生時代に肥前が世話を焼いていて、「本丸入りして二年以内に特命調査 文久土佐藩に参加する」という条件で初期刀として認められた。アル中の父親から虐待に近い扱いを受けており、他者に対して心を開くことが難しいと判断されたため特例中の特例。
 本丸入りしてからは肥前の橋渡しもあり、肥前がいなくても一人だけで刀剣男士と接することが出来るようになってきていた。
 陸奥守も主に接する時は小動物にするように慎重にしていたが、そもそも二人だけになることが全く無かった上に他の刀剣男士と喋ってるところなどを見られてビビられていた。
 棧会で主の髪を切ってしまったことでマリアナ海溝より深く落ち込んだものの、主がちょっとずつ話しかけてくれるようになったので嬉しい。
 肥前が陸奥守の"おそろい発言"に「うぜー」と言っていたのは、空元気のテンションもだが主が気にしていないことで陸奥守がうじうじしていたから。
 陸奥守は審神者が髪を伸ばしてきちんと手入れしてるのを知っていたし、綺麗な髪だなと思っていたので、切ることになってしまって悲しかった。


■>>169 鯰尾藤四郎(極)/レースのカーテン
 2200年代の実家の仏間っぽさが中々出せたんじゃないかと思ってます。
□刀剣男士視点
 日歳小学校七不思議の時の主従と同じコンビ。
 この主は母親と絶縁している。そのため、つい数日前に母親が亡くなったことを知らない。
 本来は水桶に捧げられた(指を突っ込んだ)主が生贄になるはずだったが、四十九日中だった母親が身代わりになった。
 母親は絶縁されても仕方ないほど折り合いが悪かったし、自分が産んだ子供だとしてもこの主のことが好きではなかったが、己の意思で生贄の身代わりになった。これが愛情ゆえの行動なのか、母親はこうするだろうからという事務的な行動だったのかはもう誰にも分からない。
 青江は主と母親が嫌いあっていることも、数日前から主の側に母親の霊がいることも知っていた。それが「生贄を捧げたら出してやるって言われた」と主達が話す場所から戻ってきたら母親の霊だけ居なくなっていたから、
 「人間って本当にしょうがないね」
 って言った。


■>>184 大包平/蝶
 このお話で文鎮が急に蛹として解像度爆上がりするくだりや1話目の歌仙と蝶々が繫がる感じが、一作品で共通の怪異を扱う小話集の醍醐味爆発してて結構気に入ってます。

 頭が蝶のやつは、神と怪異が混じったわけのわからないもの。正体は今まで生贄として捧げられてきた人間の残り滓。
 刀剣男士と審神者ブーストで骨子(現世へ出るための戸)が完成し、現世に出て行った。
 この後どうなるかは分からない。怪異化したため信仰がなくとも存在できる。

 >蝶は試しに一度羽ばたいてみせると俺の人差し指と親指へ順繰りに止まり、
 >脆弱な人間の人差し指と親指だけの抑止力は、しかし愛でられることを好む歌仙にはよく効く。
 についての補足。
 歌仙の時に主が「守ってくれ」と願ったので、捧げられた依代が母神の霊力を吸って災禍を昇華したため大包平とその審神者は無事で済んだ。
 依代は極前だったが、ここに居たのが極の歌仙だったのでその形を模して蝶になった。せめてきみを守った刀の名を忘れてくれるな、と。


■西洋宗教の伝来と娓寧教の衰退について
 かつてこの地には娓寧教という土着信仰があった。
 この地の氏神であるゴライハザミヒメガミを祀り、現世へ留めるために生贄を出す神事を執り行っていた。
 しかし西洋宗教の伝来により、神とは天にて人間を慈しみ見守り、人間は神の僕として愛と繁栄を広めるべきという考えが流入した。定期的に生贄を出さなければならない娓寧教は次第に衰退し、やがて完全に形骸化した後で神事は行われなくなったように思われた。
 しかし深く根付いた信仰は消滅せずに細々と伝わっており、また、1909年の大規模災害により再び氏神信仰が復活した。この時、人々に広まっていた西洋宗教思想と氏神信仰が混ざり合った。いわく、氏神は天におり、現世と繫がる戸を開くことで現世に復活する。
 生贄により作られるのは氏神を現世に降ろすための器であり、現世へ招くための戸である。


■神殿に訪れた順(審神者以外の一般人は除く)
>>レス番号 刀剣男士/お題→生贄として捧げたもの→寄進帳を見たか

>>79 山姥切長義/リュウゼツラン→審神者の高校生時代の同級生→見てない
>>85 同田貫正国/向日葵→人形→見てない
>>90 鶴丸国永/白薔薇→未励起の刀→見てない
(※↑ここまでは寄進帳は人名のみ)
>>97 豊前江/救い→ストーカー→開いてあったページのみ見た
>>112 >>117 御手杵/ピエロ→実験相手→見てない
>>123 山姥切長義/シュレディンガーの猫→未励起の刀→見てない
>>130 泛塵/錆→高校時代の先輩(引き戸)→見てない
>>138 小狐丸/扇→小狐丸→見た。記帳されていた刀剣は本刃だと思ってた
>>159 陸奥守吉行(極)/テセウスの船→髪→見てない。審神者が怪異のこと知ってた
>>169 鯰尾藤四郎(極)/レースのカーテン→母親の霊→見てない
>>73 歌仙兼定(極)/風鈴→未励起の歌仙の依代→見てない
>>184 大包平/蝶→× →見た
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